皆さんこんにちは。今回は前記事に掲載していたHDRモードについて”写真から描いてもいいじゃないシリーズ”の一つとしてチョット書いてみたいと思います。
HDRとは「ハイ ダイナミック レンジ」の略です。「ダイナミックレンジ」とは、わかり易く言うと「明暗のコントラストの幅」絵でいうところの「グレースケール」と申し上げたらよいでしょうか。それが高い?というか「表現の幅が広い」と捉えたほうがわかり易いかも知れません。
この機能はiphone5sのカメラに搭載されていたので私も初めて知りました。
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通常、露出については被写体や焦点に合わせてカメラが自動的に設定してくれます。(自動露出)
しかし、
それが撮影する人間にとって良いと感じるかはわかりません。表現したいものによって適正な露出は変わってくるのです。(適正露出)
↓ 例えば右側の室内をハッキリと写したい場合は、左側の窓が真っ白になってしまいます。(白とび)
↓ 逆に左側の窓をハッキリと写したい場合は、右側の室内がほぼ真っ黒になってしまいます。(黒つぶれ)
↓ ”二頭追う者一頭も得ず”とも言いますが、両方をハッキリ写したいと思っても調整に難儀するケースも多々あります。
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そこで”二頭追う者二頭を得る”ことを可能にしたのが”HDRモード撮影”です。
HDRモードというのは、撮影者の知らない間に(シャッターを一回切るだけ)、カメラが違う露出で同時に複数枚撮影し、明るすぎるエリア(白とびしてる所)は少し露出を抑え、暗すぎるエリア(黒つぶれしてる所)は少し露出を上げた画像を合成してくれちゃうモードなのです。
なので「HDR合成」と言った方がわかり易いかもしれません。
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↓ あまりいい撮影例が無くて申し訳ありませんが…
↓ 美味しそうではあるけれど「黒つぶれ」とまではいかないものの、草の部分が陰になって”どす黒く”てあまり美味しそうには見えません。
↓ HDRモードで撮影すると、お皿が真っ白にならない程度に露出を上げ、草の部分は少し明るくコントラストがわかる様になりました。こちらのほうが美味しそうですね。
↓ 逆バージョンでは…
↓ この部分は「白とび」して何だかよくわからない感じになっています。
↓ HDRモードで撮影すると、手前の暗めのカップが暗っぽくならない程度に露出を下げ、奥のカップは少し暗めにコントラストがわかる様になりました。
一言に写真といっても露出の関係で印象がガラッと変わります。露出の他にもいろいろとあるのですがまた追々。
なので、私はモチーフにする為に撮影するときは同じ場所で複数枚撮影することにしています。カシャカシャカシャとシャッターを切ったはずなのに其々違う印象になっていることが殆どです。
カメラのレンズに光が入る量が少し変化しただけで露出も変化します。
その中で取捨選択して一番良いものを選ぶようにしています。
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↓ そこで、先日のOYさんの作品の登場です。これは絵の元となった写真をプリントアウトしたものに近い画像。
↓ 空は明るすぎて真っ白に「白とび」しています。反対に木々の影は真っ黒に「黒つぶれ」していました。
↓ いつも”写真を参考にしながら現地での印象はどうだったか?現地に居たとしたらどの様に見えるか想像しながら描いて頂くこと”をお願いしているのですが、
空は雲と青空とのコントラストが表現され、木々の影も”真っ黒黒助”にせず、立体感やキラメキ感も出されてすごくイイと思いました(⌒∇⌒)。
という訳で「”HDRモード”グッドですね!」と申し上げた次第です。
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「写真から描くこと」というのは賛否両論ある様です。
「現場で描かなければダメ」「実物を見て描かなければダメ」という意見もある様ですが、初心者であった場合「何故?」というのがイマイチわかりません。
しかしながら、わからないままにいきなりスケッチに行ったり、生のモチーフに拘っていてもしんどいのではないかとも思います。
私にも理由の全部はわかりませんが、少なくとも「コンパクトカメラで一回だけシャッターを切り、何の加工もせずにプリントアウトした写真を、露出もそのままに描く。」ということは避けたほうがよいのではないかなと思っています。
このところの調整感覚は表現者の感覚が基本です。カメラですら調整する時代、人間も負けてはいられません。
「適正露出」の写真に恵まれなくても、現地を想像しながら”人間HDR合成モード”で描いてみるのも一考ではないでしょうか。
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<補足1>
”現地で描く主義””実物見て描く主義”というのは”個人の拘り”である場合は全然オッケーだと思います。
また、「白とび」「黒つぶれ」は「悪い事」ではありません。
例えば「逆光」の表現の場合、夕焼け空に「黒つぶれ」したシルエットが格好良かったりなんて大いにあります。
「白とび」については先程の奥のカップ…そのまま曖昧なほうが手前が際立って良かったりします。
何を「適正露出」とするかは”表現者のみぞ知る”です。
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<補足2>
HDRモードを使わなくても、最初の部屋の写真の様に違う露出で2~3枚撮影しておくのが確実ですが、
iphoneのHDRモードでの撮影は”基本のカメラ”の撮影画面上部でオンオフ出来ます(auの場合)。自動的にストロボはオフとなります。私の場合、暫く使わないと勝手にHDRモードがオフ設定になっています。
そして、「適正露出」か否かは撮影者が判断する為、HDRモードを利用したからといって全ての人にとって「適正露出」の写真が撮影できるとは限りません。
その時のためにHDRモードで撮影した写真と普通に撮影した写真、一回のシャッターで同時に2枚作成してくれる設定があります。
↓ 「設定」の画面から「写真とカメラ」をタップ
↓ 「通常の写真を残す」をオン(緑色)にすると設定できます。
<補足3>
私がHDRモードで撮影するのは、”画題を撮影するときだけ”にしています。何故かというと何でもない日常の写真なども毎回2枚ずつ増えると管理が大変だからです。この辺りは個々の方針にお任せするところではありますが一応補足まで。
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コメント
コメント一覧 (2)
実物から描くのも集中した時間が持てて脳のリフレッシュになるというか適度な疲れや達成感が心地よいですのでまた是非是非♪
教室では、ついつい絵とは関係ない事もしゃべりすぎてしまうのですが、そうおっしゃっていただけて救われます
私が「誰か止めて~!」ってなった時は、遠慮せずにストッパーになってください